当該年度において達成したのは、主として以下の三点である。 第一は、本研究の重要課題の一つである文部省教育博物館の活動実態に関して、1880年代の「学術講義」の意義と受講生の学びの様態をまとめた論文を日本教育学会の機関誌『教育学研究』に投稿し、査読を経て掲載された。この論文を通じて、同館の学術講義が東京府の教員講習を補完する役割を果たしていたこと、そして、学術講義が地元の教員たちの授業実践に影響力を有していたことを解明した。 第二は、同館における実験器具の仲介事業について検討し、学会報告を行なった。同館が取り扱った実験器具の全容を解明するとともに、仲介事業において同館が果たした役割についても報告した。 (なお、上記二点については、科研費報告に成果をまとめて刊行した。) 第三は、カナダにおいて資料調査を実施し、海外における近代博物館認識についてうかがえる資料を収集した。現在は収集資料をもとに基礎データの整理を進めている。
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