レイモン・アロンはその古典的な研究のなかで、歴史上に現出した平和的秩序を、その構成原理に従って、「勢力均衡」、「覇権」、「帝国」の3つに分類し、その特徴を定義付けた。さらに、その後の様々な先行研究、そして歴史的事例を詳細に検討すると、一度生み出された秩序は、そこに参加する国々の多く(少なくとも主要国)が既存の秩序に満足し、理念や正統性を共有し、多角的な国際制度によって結び付くことで、より強固なものとなる、という点が明らかとなった。ただ、アメリカのいかなる関与が中東の秩序維持に繋がるのか、という点については、まだまだ理論・実証両面から検討する必要がある。
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