本研究は、教育と心理学・精神医学の結びつきを、フロイトとその同時代の試みの思想史的検討を通して再考することを目的とする。そのために、まず19世紀末以降の子どもを対象とする心理学・精神医学の試みを、治療と教育を結びつける「子どもの科学」として把握した。そのうえでフロイトの精神分析を、とくに知能検査を開発したアルフレッド・ビネーの試みと比較検討していった。これによって、19世紀末以降に形成された「子どもの科学」の特質の一端を明らかにすると同時に、そうした「子どもの科学」に還元できないフロイトの試みの射程を考察した。
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