研究課題/領域番号 |
26885112
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
小泉 大輔 大阪国際大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40735411)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | ダイバーシティ / 人的資源管理 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本企業におけるダイバーシティ・フォールトライン(以下,DF)とパフォーマンスの関係を定量的に明らかにすることである。DFとはある職場において個人が持つ年齢や性別,職歴などの多様性によって形成されるサブグループの同質性を測定した概念である。昨今,日本の企業組織ではグローバル化に対応するために性別や国籍の多様性をはじめ,正規・非正規・限定正社員などの雇用区分の多様性,経験職能の多様性など人事事項に関する多次元において多様性が進展している。本研究では,DFの視点から捕捉した場合に日本の企業組織における多様性の実体,およびDFと組織パフォーマンスとの関係を明らかにすることを目的としている。 昨年度は以下の2点について研究を進めた。一つ目は,DFに関する既存研究の体系的なレビューである。Lau and Murnighan(1998)以降のDF研究に関する既存の理論・実証研究をレビューし,体系的な整理を行った。主に実証研究についてレビューし,DFの測定手法,調査対象,分析結果などを確認した。測定については数種類の手法が用いられており,それぞれに長所や短所を有していた。また,企業組織を対象とした実証研究をレビューし,DFが与える影響となる成果変数やその効果について整理した。 二つ目は,分析モデルおよび質問紙調査票の設計である。既存研究のレビューをもとに,日本の企業組織においてはどのような属性をDFとして設定することが望ましいのかについて具体的な調査項目を検討した。DFの実証研究は欧米での研究が多いが,昨今の日本における女性活躍推進の現状を踏まえ,ジェンダー・ダイバーシティをライフコースや職務といった属性のサブグループから検討する方向性である。現在も調査票を精査し,とりまとめ中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績で記載した一つ目のDFに関する既存研究のレビューについては,まだ詳細なレビューおよび論文化までは到達していないが,主要な論文を収集し,体系的に整理するところまで行った。これからさらに精査し,分類等を行っていく予定である。 二つ目の分析モデルおよび質問紙調査票の設計については,年度末から調査協力者とともに検討した。この年度初めをめどに最終版を決定する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は計画通り以下の2つの行程を進めていく予定である。一つ目は,日本企業を対象としたダイバーシティ・フォールトラインに関する質問紙調査の実施である。前年度のステップ1で設計した分析モデルと質問紙調査をもとに質問紙調査を実施する。現在申請者が関与している研究プロジェクトにおいて女性活躍やワークライフバランスに関する質問紙調査の実施を予定しており,調査協力者とともに調査の一環として本研究のDFについての調査項目を入れることを検討している。 二つ目の行程はその質問紙調査で得られたデータを分析することによって実証的に仮説検証することを試みる予定である。DFとパフォーマンスの関係を分析モデルにもとづき,計量分析によって検討する。人的資源管理論における専門学術誌へ論文の投稿,および学会報告などのアウトプットやアウトリーチを予定している。
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