サイコパシー傾向が高い者は友人との交流に際しては公正に振る舞うことを明らかにし、評判の下落のような社会的損失が利己的行動の抑止力となる可能性を示唆した。その一方で、金銭的損失のような罰は効果がなく、罰せられる可能性があろうとなかろうと見知らぬ他者に対して不正な利己的行動をすることを明らかにした。そして、サイコパシー傾向が高い者が不正を行うとき、交感神経系の活動性(皮膚電気反応、心拍数の上昇)が低いことが明らかとなった。身体状態の知覚はサイコパシーによる個人差が見られなかったが、一連の研究の結果から、身体の覚醒状態を引き起こすことがサイコパシーによる利己的行動を抑制する手がかりであるといえる。
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