研究実績の概要 |
神学と科学の関連性についてはこれまでも多くの観点から研究がなされてきたが、プリーストリーの科学思想もまた、彼の神学思想によって支えられており、ニュートンやボイルといった理神論の伝統の延長線上にいると考えられている。つまり、創造主がすべての自然を支配しているという考えである。創造主が宇宙を設計し、大地を創造し、法則性をその世界に埋め込んだと理神論者たちやプリーストリーは考えた。だから、創造主は、あらゆるところに遍在し、その痕跡を残し続けている。創造主が残した法則性を発見することが科学の主要な目的であるとプリーストリーは考えたのであった。しかしながら、理神論とプリーストリーの神学では様々な考えの相違があるために、トマス・ペインの理神論とプリーストリーの神学を比較考察する研究を行い、『日本ピューリタニズム研究』第9号において「プリーストリーのペイン批判――18世紀後期イングランドにおけるユニテリアニズムと理神論――と題して公表した(2015年3月完工予定であったが、2015年4月14日時点では未刊)。 さらにプリーストリーのExperiments and Observations Relating to Various Branches of Natural Philosophy, London: J. Johnson, 1779などからヒントを得て、彼の社会科学と自然科学との峻別を検討し、その特徴を明らかにし、リカードウ国際会議(3月6-8日、於沖縄)において「Joseph Priestley’s Social-Science Methodology」として報告した。
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