研究課題/領域番号 |
26885118
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
原田 峻平 九州産業大学, 商学部, 講師 (70735224)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | PFI事業 / 入札 / 競争の効果 / 事業の質 / 非価格要素 / 実証分析 |
研究実績の概要 |
PFI事業は、従来の公共事業と比べて安価に高い質が実現する場合に特定事業として選定され、PFIとして実施されることになっている(安価で高い質が実現したことを示す指標が、VFM(Value for Money)である)。民間事業者の選定にあたっては、競争入札が用いられる。競争入札においては、価格要素と非価格要素の二要素で行われているが、非価格要素の入札は高い質の実現につながる重要な要素である。 これまでの研究では、価格要素においては入札を通じた競争の効果で落札価格を低下させることを確認した。本研究では、もう一方の入札要素である非価格要素の入札に焦点を当てた分析を行っている。 2014年度に実施した分析では、過去に行われた100件のPFI事業の入札結果を表す審査講評を入手し、価格要素・非価格要素の企業別の得点や落札企業の順位などの情報を整理した。その上で、分散分析や回帰分析を行い、入札に参加する企業数(競争の程度)と非価格要素の得点(入札の結果)の間の関係を明らかにした。 分析結果としては、入札に参加する企業数が増えると落札企業の非価格要素の得点が上昇するという関係が確認できた。この関係は、入札参加企業数に関する内生性(=計量分析の結果を誤らせる要因)を操作変数法を用いてコントロールした分析においても同様に示されている。すなわち、非価格要素でも入札を通じて競争が生じていることが示された。過去に筆者が行った研究と合わせると、価格要素と非価格要素の両要素で入札を通じた競争が実際に生じていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度は、データ収集やデータ分析手法の検討を行い、入手したサンプルを用いて一定の分析結果が得られているため、おおむね順調に進展していると評価した。また、実証分析やPFI事業の実務に精通した数名の専門家の先生方にも分析手法や分析結果について報告する機会があり、非常に有益なコメントをいただくこともできているため、2015年度以降の取り組みの計画もある程度立てられていることからも、特に遅れなどは生じていないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、①サンプル数を増やしてさらに頑健な結果を得ること、②専門家の先生方からの指摘を反映した分析の精緻化を図ること(例えば、タイムトレンドに代わる変数を追加して分析することなど)、③国内外に広く成果を公表すること、の三点に取り組んでいく。
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