研究課題/領域番号 |
26885124
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
菊池 啓一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (80735374)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 政治学 / 議会研究 / 連邦制 / 国際情報交換 / アルゼンチン:ブラジル |
研究実績の概要 |
本研究は、連邦制において州の利益を代表する機能を持つ上院に焦点を当て、大統領と議会の関係における地方政治の影響を明らかにすることを目的としている。既存の議会研究のほとんどが州ではなく市民の利益を代表する下院を研究対象としており、地方政治の国政に対する影響を実証できていない。そこで、アルゼンチンとブラジルという2つの連邦制国家の上院における記名投票データや質的情報の比較分析を通じ、他地域の連邦制諸国にも応用可能な上院議員の大統領(または内閣)提出法案に対する一般的な行動パターンを解明する。 初年度である2014年度は、議員行動や連邦制に関する近年の研究動向の整理と記名投票データの更新・収集作業を行った。また、アルゼンチン・ブラジルの両国において現地調査を行った。その結果、研究代表者が1983~2007年のアルゼンチン上院について博士論文で指摘した2つの特徴、すなわち、再選経験のある州知事の審議過程への強い影響力や州知事・大統領を経験している上院議員の自律性の高さが、それ以前の民政期にもおおむね当てはまると考えられることが明らかになった。しかしその一方で、アルゼンチンとブラジルにおける地方政治の構造の差異に対する十分な注意が必要であることも、今回の両国訪問における現地の研究者とのディスカッションを通じて浮き彫りになった。今後は、特に財政移転や議員候補者選出過程と上院における立法過程の関係に注目しつつ分析を展開することが課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、理論枠組みを精緻化する上で有用であると考えられる先行研究の内容を踏まえた上で2015年の2月から3月にかけてアルゼンチンとブラジルを訪問し、現地の政治学者との意見交換を行った。そして、先行研究における議論と事例との関係やそれらの議論が直面している問題点などを明確にすることが出来た。また、両国の上院の記名投票データの更新・収集作業もおおむね予定通り進めることが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2015年度は、まず前年度の現地調査で得られたデータおよび知見の整理を行い、加えて、ブラジル上院の記名投票データおよび質的情報の収集作業とアルゼンチン・ブラジル両国のデータを用いた仮説検証作業を完了させる。そして、各種研究会での発表の機会を通じて本研究の議論を洗練し、年度末までに研究論文を完成させる。
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