本研究は、連邦制において州の利益を代表する機能を持つ上院に焦点を当て、大統領と議会の関係における地方政治の影響を明らかにすることを目的としたものである。そして、アルゼンチンとブラジルというラテンアメリカの2つの連邦制国家の上院における量的データや質的情報の比較分析を通じ、両上院における共通点として、元大統領・元州知事の上院議員は地方の利益の擁護を優先すると考えられる点とその傾向が記名投票の分析結果とも親和的である点を指摘した。一方、現職の州知事が上院議員の行動に与える影響力や立法過程の制度的特徴については大きな差異があることも浮き彫りとなった。
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