層状絶縁物質であるh-BNはグラフェンFETのゲート絶縁膜や積層型電子デバイスの基板として理想的な物質として広く認識されているものの、絶縁膜としての信頼性や破壊メカニズムは未解明であるので、コンダクティブAFMを使って絶縁破壊に関する基礎研究を行った。厚さ20nm程度のh-BNを導電性の基板に転写し、AFMの針では挟みこむことにより、I-V測定を行った。絶縁破壊によって既存のSiO2に代表される3次元物質の酸化絶縁膜では見られないような、花びら形状に破壊した様子が観察できた。頻繁に、正三角形の破片が観察されたことから、h-BNのハニカム型の結晶構造を反映していると考えられる。また、SiO2と比較して、一瞬で破壊が進行するのではなく、約300ms程度かけて針側の層から順にLayer-by-layerで徐々に破壊が進行していることがわかった。これらの結果はh-BNの結晶構造が絶縁破壊に現れたものであり、絶縁破壊に異方性があることを示唆していると考えられる。
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