h-BNは層状の結晶構造をもつ絶縁体であるために、絶縁破壊現象においても異方性があると考えられる。前年度ではc軸に水平方向に関する破壊を調査したので、本年度はc軸垂直方向に関する研究を行った。電子線リソグラフィーによって結晶の表面上にギャップ間隔100-1200 nmを有する電極を作成して、破壊試験を行った。電極の構造上h-BN表面が存在するため吸着水の影響を排除する必要があので、加湿器や絶縁油を用いて、吸着水の影響を調べたところ、絶縁破壊に大きな影響を及ぼすことがわかり、その影響は真空中で測定することにより排除できることがわかった。破壊電圧をさまざまなギャップ間をもつ電極をつかって測定すると、破壊電圧はギャップ間隔に比例して破壊電界は3 MV/cmを示した。これはc軸に平行の破壊電界の12 MV/cmと比較して4倍程度小さな値である。この破壊電界の異方性は誘電率の異方性に起因していると考えられる。
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