研究課題/領域番号 |
26886006
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
青木 大輔 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80736950)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 超分子化学 / 高分子化学 / ナノ材料 / 刺激応答材料 / 空間結合 |
研究実績の概要 |
高分子は線状・分岐状・環状などその一次構造(トポロジー)の違いによって物性が変化することが知られているが、1つの分子でこれらの構造を相互変換できるものは存在していない。本研究では、高分子鎖のトポロジー変化に由来するマクロな物性を可逆的に制御できるような材料を指向し、ロタキサンの動的特性を制御することで高分子鎖のトポロジーが変化する空間結合型高分子に関する研究を行った。その結果、 (1)輪成分であるクラウンエーテルと相互作用する2級アンモニウムとウレタン結合を同一分子内に有する高分子[2]ロタキサンの効率的な合成法を確立した。さらにクラウンエーテル/2級アンモニウム相互作用をアセチル化することで切断すると、次に安定なクラウンエーテル/ウレタン結合を形成することが分かった。すなわち高分子軸上での2つの相互作用を利用することで輪成分の位置を制御できることを明らかにした。 (2) ロタキサンを連結点に有する分岐ポリマーの合成法を確立し、(1)に示した2つの相互作用を利用することで輪成分の位置を制御し、線状構造へとそのトポロジーを変換した。構造変換(トポロジー変換)前後の流体力学半径の増加は分岐高分子から線状高分子への構造変換を裏付けており、トポロジー変換システムを多成分系へと展開することでマクロな物性制御が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロタキサン連結高分子の合成法およびその構造変換(トポロジー変換)システムを確立したため。同一成分からなるロタキサン連結高分子は、軸成分と輪成分のそれぞれのコンポーネントに水酸基を導入し、錯形成させることで超分子多官能性開始剤とし環状モノマーのリビング開環重合とその末端封鎖反応によって合成した。2成分、3成分からなるロタキサン連結ポリマーは、クリック反応可能な官能基やラジカル活性な官能基を軸成分、輪成分に導入することで行った。種々のロタキサン連結高分子の合成法の確立と同一成分からなるロタキサン連結高分子のトポロジー変換が主な研究成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を基に種々のロタキサン連結ブロックコポリマーを合成し、構造変換前後での特性評価を行う。特に構造変換前後で物性が大幅に変わる分子設計を行い、ミクロな構造変換とマクロな物性変換を関連づけ機能性材料へと展開する。
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