研究課題
スピントロニクス分野では現在、次世代不揮発性メモリデバイスとしてMRAMの開発が進んでいる。ところが現在の書込み手法は電流駆動型でありジュール熱損失など大きな電力を消費してしまっている。そこで、本研究ではすでに実験的に実証されている電圧駆動型の書込みである電圧誘起磁化反転の低電圧化を目的に研究を行った。本年度は垂直磁化型のトンネル磁気抵抗素子において、電圧誘起磁化反転の実験を行い、磁化反転の観測に成功した。また様々な電圧強度の磁化反転のエラー率を評価したところ、電圧強度が大きくなるにつれてエラー率は低減するが、ある電圧強度より大きくなるとエラー率が増大した。つまりエラー率を最小にする最適な電圧強度があることが分かった。これはシミュレーション計算からも再現することができた。この振る舞いは電圧を加えている際に、垂直磁気異方性を完全に打ち消した時にエラー率が最小値を取るという事で理解できる。またWキャップのCoFeBに比べてTaキャップのCoFeBのフリー層の方が低電圧で磁化反転することができた。これはTaキャップのCoFeBの方がもともとの持っている垂直磁気異方性が小さかったために低電圧で磁化反転できたものと理解できる。しかしこれでは、低電圧で磁化反転ができてもエラー率が大きくなってしまう。これを解決するためには、さらに垂直磁気異方性が大きく、かつ電圧効果の大きな系で実験を行う必要があり、今後の研究の進展に期待したい。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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