平成26年度の研究では量子アフィン展開環のレベル・ゼロ表現に対するギャラリー模型を導入し、半無限LSパス模型、及び量子LSパス模型を経由することにより、これらが量子アフィン展開環の大域的Weyl加群(またはレベル・ゼロ端ウェイト加群)の結晶基底やレベル・ゼロ基本加群のテンソル積の形をした局所的Weyl加群の結晶基底に対する実現を与えることを示した。しかし、このようにして導入されたギャラリー模型の結晶構造の明示的な記述は与えられていなかった。 平成27年度は量子アフィン展開環のレベル・ゼロ表現のギャラリー模型の結晶構造の明示的記述について研究した。レベル・ゼロ表現のギャラリー模型の各元は、考察している量子アフィン展開環(アフィンLie環)のアフィンWeyl群の中の有限な放物型部分群に付随するアフィンWeyl群の元の列として与えられる。平成26年度ではこの列に現れる各元を自然な対応によりもとのアフィンWeyl群の元であると解釈して研究を行っていた。しかし、当該年度の研究でこれらが実際には二重アフィンWeyl群の関係式を満たしていることが分かり、上記の解釈では見通しが悪いことが判明した。結果として、ギャラリー模型に対する柏原作用素の作用を二重アフィンWeyl群の作用の言葉を用いて明示的に記述することができた。
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