研究課題/領域番号 |
26887010
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鮑 園園 東北大学, 知の創出センター, 助教 (00710823)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | Heegaard Floer homology / 結び目 / 空間グラフ / TQFT / Alexander多項式 |
研究実績の概要 |
昨年度までに、均衡二部グラフのHeegaard Floer homologyを定義し、組み合わせ的な観点からこのhomologyの性質、Euler数などを研究した。本年度この研究の続きとして、下記の結果を得た。 1.結び目のHeegaard Floer homologyの場合、基点の選択により、幾つかのバージョンが定義されていた。 \infty-バーションは\hat-バッションと比べ、いい性質を持つ。例えば、結び目のtau-不変量とそれに関する多様体のd-不変量の計算は\infty-バーションを利用して行うことができる。最近、結び目の類似として、二部グラフのHeegaard Floer homologyの場合も、基点の選択により幾つかのバージョンが定義した。それらのバージョンの性質、関係と位相的な応用を現在研究している。
2.交代結び目のHeegaard Floer homologyは完全に結び目のsignatureとAlexander多項式によって決められると知られている。本年度、交代二部グラフに対しても類似した結果を期待し、研究した。結び目の場合、Heegaard Floer complexのMaslov gradingとAlexander grading は結び目射影図から簡単に読み取ることができる。この性質は交代結び目のHeegaard Floer homologyを研究する上でとても重要であった。二部グラフの場合、グラフの射影図からのMaslov grading とAlexander grading の計算方法を考え、結び目の場合と類似した結果を得た。現在この結果に基づいて交代二部グラフのHeegaard Floer homologyの計算を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書では、グラフのHeegaard Floer homologyに関する研究計画と結び目Floer homologyに対応するTQFTの拡張に関する研究計画を書いた。本年度グラフのHeegaard Floer homologyに関する研究がかなり進展し、来年度ではその研究の続きと結び目Floer homologyに対応するTQFTの研究を行う予定である。よって、研究は当初計画とおりおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
Zeravによって、境界付き多様体の不変量であるbordered sutured Floer homologyが定義された。このホモロジーはとても強い代数構造をもって、bordered Floer homologyとsutured Floer homologyを同時に拡張していることが分かっている。Vertesi と Petkovaによって3球面内のtangleに対するHeegaard Floer homologyの TQFTが構成された。彼女達の仕事ではbordered Floer homologyの構成と性質は本質的な役割を果たしている。今年度では、彼女達の結果を分岐点のあるtangleまで拡張したい。そのため、今年度10月までに、結び目補空間そして空間グラフの補空間に対応したbordered Floer homologyそしてBordered sutured Floer homologyを詳しく調べる予定である。この研究に関する進展をよりよく把握するため、今年度後半でアメリカへの短期訪問を計画している。
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