研究課題
重い電子系薄膜・人工超格子のゼーベック・ネルンスト係数を極低温・高磁場の環境下で測定できるシステムの開発に取り組んだ。時間の関係上、実際の試料でゼーベック・ネルンスト係数を測定する所まで到達することができなかったが、測定システムはほぼ完成したので、これを用いて今後も研究を続けていく予定である。本年度は具体的にはまず初めに、10 mm × 5 mmのMgF2基板上に成長させた薄膜試料でもゼーベック・ネルンスト係数が測定できるセルの開発を行った。今回用いた抵抗温度計(RuO2, Cernox)は磁場中で抵抗値が変わってしまうので、磁場中での補正が必要不可欠である。そこで14 Tの高磁場まで精度良く温度が読めるように校正を行った。開発を行ったゼーベック・ネルンスト係数の測定セルの動作を確認するために、金属の熱伝導率測定を極低温(0.1 K以下)まで測定し、Wiedemann-Franz則が成り立つことを確かめた。14 Tの高磁場中においても、Wiedemann-Franz則が満たされていることは確認済みである。今後はこのシステムを用いて、CeCoIn5薄膜のゼーベック・ネルンスト係数測定を行い、CeCoIn5のバルク試料で得られている実験結果と一致していることを確認するつもりである。その後、本題である重い電子系人工超格子(CeIn3/LaIn3, CeRhIn5/YbRhIn5)に関する測定に移っていく予定である。尚、後者の人工超格子CeRhIn5/YbRhIn5は本年度中に作製に成功したものである。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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