研究課題
南アフリカEzulwini金鉱山で観察された,前進する採掘前線直近10-30 mの位置にある既存断層面上で採掘の進行とともに新たに始まった2次元状の分布を示す微小破壊活動について,その3ヶ月間の活動変化をまとめ,国際誌(Journal of Geophysical Research誌)において出版した.同論文では,これらの活動域が時間とともに徐々に拡大する様子を報告している.このことは採掘が近づき,応力レベルが増大したことによって既存面上でゆっくりすべりが発生し,それが広がったことに対応しているとみられる.また,この活動ではb値が低下2.5から1.5に顕著に低下したことが確認された.これらの成果は,採掘前線直近という,鉱山の中でも特に応力変化の速度が大きい場所において,微小破壊活動の明瞭な変化が確認された好例である.また,より採掘前線から遠い複数の面状分布を示す活動についてもその特徴をまとめ,別の国際誌(Tectonophysics誌)において出版した.面状分布を構成する微小破壊の押し引き解析からは,これらのイベントが既存面上でのすべりであることが示唆され,これらの活動のb値は採掘前線で発生する微小破壊に比べて高い値を示すこともわかった.また,これらの断層面上で起こった小繰り返し地震についての解析も進んでいる.当初計画で予定していたカタログ作成(解析期間の延長)については,当初の予定よりやや遅れ気味ではあるが,およそ1年分のデータ解析がほぼ終了している.
2: おおむね順調に進展している
「研究実績の概要」部分で示した成果の他に,当初の予定通り,既存断層面上でおこるb値の時間変化の解析を行ったが,b値の時空間変化が激しく,意味のある解釈が難しい状況となっている.現在は,解析に用いるパラメタの調整などによる結果の変化を検討中である.また,空間相関長の変化についても解析を始めたところである.これまでカタログ作成済であった3ヶ月分のデータ解析は概ね順調に進行しているといえる.解析期間の延長については,やや遅れ気味ではあるものの,およそ1年分の解析がすでにほぼ終了しており,今後は延長した新しいカタログを用いた解析を進めていく.
当初の予定どおり,解析期間を延長した微小破壊活動カタログを用いて,大きな地震の発生サイクル中の活動変化の検出を目指した解析を行う.
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
J. Geophys. Res.
巻: 未定 ページ: 未定
10.1002/2014JB011165
Tectonophysics
10.1016/j.tecto.2015.02.025