本研究では、ナノスケールの構造体付近の近接場を利用し、極低温原子をナノメートルスケール間隔で配置したナノ格子の実現を目指した。まず、構造体に平面波が入射した際の電磁場分布をFDTD法により計算した。特に、20 nm以下の構造について大きな電場勾配が発生し、高次の原子―光相互作用が無視できなくなることを見出した。また、冷却原子集団を高強度の赤外レーザーによる光トラップ中に捕獲したのち、高精度ステージにより光トラップ用ビームの焦点位置を移動することで、原子集団をガラスセル表面付近に移動することに成功した。この技術を用いると、近接場が発生する構造体のごく近傍に原子を準備することが可能になる。
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