約3.8~2.9万年前の後期旧石器時代初期には、石斧が用いられた。石斧は密度があり丈夫な透閃石岩(軟玉)などの石材が使われ、ナイフ形石器などとは異なった石材が選択された。石器の石材を実体顕微鏡などで鑑定し、岩石の変質にも着目して分類することで、原産地や採集地を推定することも可能となった。北陸原産の透閃石岩製石斧は、石川県から秋田県までの日本海沿岸域に広く分布するが、脊梁山地を超えることはなく、大平洋側では岩手や神奈川、群馬など各地の緑色凝灰岩や緑色岩などが石斧に用いられた。当時、すでに太平洋と日本海の2地域の移動領域が存在していたと考えられる。
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