研究課題
本研究では、惑星探査におけるカリウム・アルゴン年代計測装置の開発を目指して一連の実験を行った。これまでの研究で用いてきた分光器を使った実験では、岩石中に大量に含まれるシリコン発光輝線がカリウム輝線の近くに存在し、両者を分離することができなかった。このことが、高精度のカリウム計測の阻害要因となっていた。そこで平成26年度の研究では、高波長分解能の分光器を導入した。これを用いて、既知のカリウム濃度をもつガラス試料9種類にレーザーを照射し、発光スペクトルを取得した(K2O=0.03~4.37 wt%)。その結果、半値幅約0.15 nmの高分解能発光スペクトルが得られるようになり、カリウムの発光輝線のみを分離・取得することができるようになった。この分光器を用いて、10 mJから35 mJまでのレーザーエネルギーにおいて、カリウムの定量実験を行った。その結果、300 ppmという低いカリウム濃度をもつ試料に対しても、20 mJのレーザーエネルギーでカリウム発光輝線を計測することができた。この結果は、惑星探査機に搭載される小型のレーザーによっても微量のカリウムを検出できることを示唆する。また、9種類の標準試料を計測することで、カリウムの検量線を取得した。この検量線を用いた定量分析の結果、1.5 wt%程度のカリウムが20%より良い確度で求められ、5000 ppm程度のカリウムが40%程度の確度で定量可能であることが分かった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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