当該科研費の研究期間中(平成26年度から27年度)に、m+1次元ユークリッド空間の上半空間におけるPoisson積分を、第m+1座標を固定して、m変数関数とみなしたときの臨界点(および最大点)が第m+1座標に関してどのような振る舞いを示すかを研究した。境界条件は体(有界な開集合の閉包)の定義関数で与える。境界条件を定める体の形状と第m+1座標によっては、m変数関数としてのPoisson積分の臨界点は一般には唯一とは限らない。また、m変数関数としてのPoisson積分の臨界点は第m+1座標に関して一般には動く。これらの事実に対して以下の2つの研究成果を挙げた: (1)境界条件を定める体が凸ならば、第m+1座標に依らず、m変数関数としてのPoisson積分の逆数は上に狭義凸になる。したがって、m変数関数としてのPoisson積分の臨界点は一意に定まる。また、一般に、m変数関数と凸体の定義関数との畳み込みとして得られる関数のべき乗が狭義凸関数になるための十分条件を与えた。 (2)m変数関数としてのPoisson積分の臨界点が第m+1座標に関して動かないための必要十分条件は境界条件を定める体がMagnanini氏と坂口氏によって1997年に導入されたバランス法則をみたすことである。また、次数sのRieszポテンシャル(距離のs乗と体の定義関数の畳み込み)の臨界点が次数sに関して動かないための必要十分条件もMagnanini氏と坂口氏のバランス法則であることを示した。
(1)の研究成果は第62回幾何学シンポジウムで成果発表した。これらの研究成果は論文の形にまとめ、現在、投稿中である。
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