研究課題
本年度は,実施計画に記載されているように,ヘリウムビーム分光計測装置の,ビーム入射装置部分の開発を重点的に行なった.九州大学応用力学研究所のPlasma Assembly for Nonlinear Turbulence Analysis(PANTA)装置を用いて,Supersonic Molecular Beam Injection(SMBI)の入射軌道及び入射束サイズを,高速度カメラを用いて装置横ポートから観測した.入射ビームは当初の予想をはるかに超える幅で広がってしまっており,今後空間分解能の良い計測を行う上で改良が必要である.今後入射部をプラズマカラムに近づける改良を行う予定であり,空間分解能の改善が見込まれる.ビーム入射部の開発と平行して,分光器及び受光装置の開発も進められた.カメラレンズを用いた光学系によって集光された光は,光ファイバを通して分光器に入射され,出射光はCCD検出器を用いてディジタル信号に変換される.計測されたスペクトルを,ヘリウムビーム有りと無しの場合で比較した結果,有りの場合でヘリウムIのスペクトルの増加が見られた.だだし,今回観測されているヘリウムI発光は,ヘリウムビーム入射分光装置で用いるものとは異なっており,次年度では実際に使用する波長を持った発光成分の検出を目指す.
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究では,ビーム入射装置及びCCDによるスペクトル計測が目的であった.ビーム入射装置は高速度カメラを用いることにより現状の問題点を洗い出すことに成功した.また,オペレーションパラメータである封入ガス圧力や電磁弁開放時間のスキャン実験も行っており,今後の計画遂行の上で必要な開発を行うことができた.またスペクトル計測部分は,当初はグレーティングを変更して観測を行うなど試行錯誤的な実験観測を行わざるをえなかったが,最終的にはビーム入射前後の違いを計測することに成功した.計画当初開発が必要であると考えていた光学系や光学フィルタは,既存の分光器やカメラレンズ,光ファイバなどを代用することで研究を進めた.また乱流物理現象の研究も平行して進めることができており,計画は概ね順調に進展していると考えられる.
研究の2年目は,計測装置の完成を目指す.まずヘリウム入射装置部分の改良を行い,プラズマカラム付近で入射装置を駆動させることができるようにする.高速度カメラを用いてビーム軌道を確認する.この改造によりビーム発光成分の増加が見込まれるため,1年目で行うことが困難であったCCDを用いた発光スペクトル検出を目指す.計測装置の多点化もしくは観測ファイバの上下スキャンを行うことで,発光強度スペクトルの半径方向スキャンを行う.また平行して,プラズマ熱フラックスや閉じ込めに関する物理素過程の研究も進めていく.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Nuclear Fusion
巻: 55 ページ: 063009
10.1088/0029-5515/55/6/063009
巻: 54 ページ: 073017 (14pp)
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Review of Scientific Instruments
巻: 85 ページ: 083507
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