研究課題
計画後半に当たる本年度は,最終目標であるプラズマ電子熱輸送の非線形性・非局所性の解析を重点的に行なった.核融合プラズマ装置に於いて,局所加熱ソースのモジュレーション実験(MECH; Modulation Electron Cyclotron Resonance Heating)を行い,電子温度の摂動を計測して熱輸送の非拡散性を議論した.計測された電子温度摂動のフーリエ解析を行い,モジュレーション周波数及びその奇数次高調波の振幅ディケイと位相差を観測した結果,拡散モデルで予測されるプロファイルと大きく異なることが判明した.特に高調波成分の振幅ディケイは拡散モデルで予測されるものに比べ極端に緩やかであった.すなわち,熱輸送係数に周波数依存性が存在することが示された.更に,モジュレーションの開始位置をプラズマの中心と周辺に設定した実験を行い,外向き・内向きに伝わるパルスの解析を行った.その結果,得られた熱輸送係数はパルス向きの依存性をもった.これらのことから,高温プラズマ中の熱輸送は拡散モデルでは表せないことが示された.更に観測の一般性を議論するため,様々な実験装置(核融合科学研究のLarge Helical Device,スペイン,CIEMATのTJ-II装置,韓国,NFRIのKSTAR装置,及び米国,General AtomicsのDIII-Dトカマク装置)において本解析を行った.どの装置に於いても熱輸送係数の周波数及びパルス伝播方向の依存性が確認され,拡散モデルの予測が観測を表さないことは普遍的であった.また同時に,モジュレーション実験において,計測周波数の遅い計測装置を用いて,電子温度の高速な応答を再構成する手法の開発に成功した.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Review of Scientific Instruments
巻: 87 ページ: 043505pp1-4
1063/1.4945258
Physics of Plasmas
巻: 22 ページ: 112301pp1-8
10.1063/1.4934537