近年、宇宙機からの極端紫外線による惑星観測技術が確立し、将来計画においてその必要性が高くなりつつある。一方、従来の装置設計で達成できる性能はすでに上限に達しており、将来計画に向け新たな突破口が必要であることもわかってきた。本研究では可視光用の画像素子であるCMOSイメージセンサを応用した新型の極端紫外線検出器を開発する。今年度は本研究の核となる、光を伝送するためのファイバーオプティクスプレート(FOP)とCMOSイメージセンサの接合技術の確立を目指し、各部品の試作を用いた基礎実験を実施した。 通常CMOSセンサは撮像面とその周辺電気回路を保護するためにカバーガラスで覆われている。一方、FOPとCMOSセンサを接合するためには、カバーガラスを除去しなければならない。そこで過去の研究の予備品であるCMOSイメージセンサのカバーガラスを除去し、通常の衛星搭載装置と同様の環境で数か月保管した。そして保管の前後でともに正常に動作し、かつ性能に変化がないことを確認した。また真空中でも正常に動作することを確認した。 また惑星探査機の搭載を目指すには、使用部品に放射線耐性があることも重要になる。そこで入手可能な2種類のFOP(標準品およびX線用)にそれぞれ放射線を照射し、透過率および機械強度の変化を調べた。その結果、機械強度はどちらも変化なく、透過率はどちらも15~20%程度の低下しかないことから、衛星搭載品として使用しても問題ないことを確認した。本研究では未照射時の透過率がより高い標準品を採用する。 以上の基礎実験の成果によりCMOSセンサとFOPの結合に向けた準備を整えることができた。
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