窒化・炭化物系層状化合物,MAX相化合物や酸化物系層状化合物は,無機イオン交換体として有望な物質群である。本研究では,これらの材料あるいは,フッ酸・塩酸などに浸漬して得た材料のイオン交換特性を調べた。中でも,チタン酸塩系イオン交換体KTiNbO5・H2TiO3は特定のイオンに対して高い選択性を示すことが明らかとなった。 はじめに、窒化・炭化物系層状化合物のイオン交換特性を調べた。フッ酸で処理することにより,骨格中のAlイオンは溶解除去され,新たにイオン交換サイトが生成した。次に,金属イオン含有水溶液に浸漬して,各種層状化合物のイオン交換特性を調べた。いずれの層状化合物のイオン交換容量は,0.1-0.3 mmol/gであった。また,特定の金属イオンに対して選択性を示さなかった。 次に,フラックス育成したチタンニオブ酸カリウムKTiNbO5(KTNと略記する)のSrイオン吸着特性を調べた。得られた吸着等温線はL型に帰属できた。また,KTNのSrイオン吸着交換容量は1.03 mmol/gと見積もられた。また,この容量は理論交換容量の54%に相当した。吸着等温線の形およびフィッティングの結果から,KTNの吸着サイトは均一性が高いと結論できた。次に,KTNのSrイオン吸着特性のpH依存性を調べた。pH = 3-10の広い範囲で分配係数Kdは4 × 10000 mg/gを超えた。pHの減少とともにKd値は減少したが,pH = 1.9でも1.8 ×10000 mg/gを超えていた。この値は,他の高性能なSr吸着材の結果と比べても二桁程度高い。また,特筆すべきことにpH = 0.5でも酸化物骨格の構成元素(Nb,Ti)はほとんど溶出しないことが分かった。H2TiO3もLiイオンに対して高い選択性を示すことが分かった。
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