研究課題
昨年度に、短パルス光照射を活用し、カーボンナノチューブ(CNT)とヨウ化銅(CuI)の複合構造を構築することにより、CNT透明導電膜の高導電率と高耐久性を両立した技術を開発した。本年度は、極薄CNT膜を製膜し、数種類ドーパントによるドーピングを行い、CNT膜に対する導電性の向上及び耐久性を調査した。その中、硝酸浸漬によるドーピングではCNT膜の導電性を大幅に向上したが、CNT膜を真空中で250度まで加熱したところ、導電率が減少し、ドーピング処理前と同じ値になっていた。それは、ドーピングされた硝酸分子がすべてなくなったことを示している。一方、CuIによるドーピングでは、CNT極薄膜においてもCNTCuI複合構造を有効に形成され、他の方法に比べてCNT膜の導電率が最も高い。また、CNTCuI複合膜の導電率は真空加熱しても変化が少なく、厳しい環境においても複合膜が安定していたことが明らかになった。さらに、全溶液法でCNTCuI透明導電膜の作製技術を開発した。耐久性に優れるCNT-CuIを用い、真空低分子系有機薄膜太陽電池を作製した。ITO基板に作製した素子に比べて、低い曲線因子と開放電圧を示したが、CNT膜のラフな表面を活用し、積層構造の有機薄膜太陽電池では、ドナーとアクセプターの界面が大幅に向上し、高い短絡電流が得られた。その結果、CNT透明導電膜上に作製した素子の光電変換効率が約3・0%になり、市販されているITO透明導電膜に同様に作製した素子に比べて、同程度の性能が得られた。本研究により、CNT透明導電膜またそれを用いた有機薄膜太陽電池の性能向上のための新しい技術と可能性を示した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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