研究実績の概要 |
本研究では、二酸化炭素やメタンなど温室効果ガスの生成・消失に、地下温度上昇が与える影響を定量的に評価することを目的としている。地下に原位置で熱負荷を与え、温度を強制的に上昇させた地点と、ほとんど熱の影響を受けていない隣接する地点で、温室効果ガスの地表面放出量ならびに土壌内ガス濃度分布を定期的にモニタリングする。 本年度は、昨年度の結果に基づいて二酸化炭素を主なターゲットとし、その地表面放出量ならびに土壌内ガス濃度分布(深度10, 25, 40, 65, 90 cm)を定期的に観測し、不飽和帯における二酸化炭素フラックスを推定した。その際、地表面温度、土壌内の各深度における地下温度および体積含水率を連続的に測定した。また、室内においては、土壌内の二酸化炭素フラックスを推定するため、土壌ガス拡散係数を実験的に求めている。 結果的に、地表面から放出される二酸化炭素の大部分は、深度0~10 cmのごく浅い部分で生成されていることが分かった。また、その地表面放出量は、浅部の温度上昇と共に上昇する傾向が示唆された。今後は、継続的にモニタリングを実施し、観測データを蓄積することが重要である。
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