研究課題
平成26年度に実施した東南アジア地域の河川表流水の膜ろ過性調査において薬品洗浄後も膜にファウリング物質が残留していたことが明らかになったことより、平成27年度は洗浄後の膜表面および膜内部に残留するファウリング物質に着目し、新たな解析手法の確立と残留するファウリング物質の解析を行った。従来膜表面のファウリング物質の解析に応用されている共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)に加え、200nm程度の解像度を持つCLSMに比べて10倍の解像度(20nm程度)を持つ超解像顕微鏡と呼ばれる確率的光学再構築顕微鏡(STORM)を用いた解析手法を確立し、微量なためにこれまで解析が困難であった薬品洗浄後に膜表面や膜内部に残留するファウリング物質を分子レベルで解析すること可能となった。具体的には蛍光標識したウシ血清アルブミン(BSA)を用いて限外ろ過膜(分画分子量50kDa、および300kDa)にろ過後、逆洗上を行った上で水酸化ナトリウム(pH12)による薬品洗浄を行った膜を観察した結果、残留するファウリング物質量は減少するものの残留する位置が洗浄後に膜の分離層から、その支持層に広がることが明らかになり、透水性能の回復に影響を与えていることが示唆された。また当該地域の河川表流水の膜ろ過において原水中に酸化鉄として存在する鉄がファウリング物質として卓越していたことから、酸化鉄の天然有機物との相互作用および膜ろ過への影響を、サロゲート物質としてフェリハイドライトとタンニン酸を用いることで調査した。フェリハイドライトが存在することでタンニン酸による膜ファウリングが軽減されたことより、表流水中の自然由来の無機物と天然有機物との相互作用が膜ファウリングを軽減していることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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