研究課題/領域番号 |
26889020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柏崎 梢 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40735594)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 都市住民組織 / 地域コミュニティ活動 / 国際情報交換 / バンコク / ビエンチャン |
研究実績の概要 |
本年度は研究計画に従い、以下の2つのステップを実行した。 (1)ステップ1:「都市化と住民組織を取り巻く諸制度の把握」 対象都市における都市計画に関する諸制度および住民組織の形成歴に関する文献および資料の収集を国内外で行った。2014年8月にバンコク、9月にビエンチャンを訪問し、現地での資料収集およびプレ調査を実行した。バンコクではチュラロンコーン大学建築学部都市地域計画学科、バンコク都(BMA)都市計画局、コミュニティ組織開発機構(CODI)、ビエンチャンではラオス国立大学都市環境計画学部、公共事業省公共事業運輸研究所(PTI)環境社会局、日本国際協力機構(JICA)ビエンチャン支部の協力を得て実行することができた。 (2)「住民組織による開発活動および諸機関との関係性の実態の解明」 2014年11月にビエンチャン、2015年2月にバンコクでの調査を行った。ビエンチャンでは中心市街地が抱える都市問題を住環境面から整理するとともに、地域コミュニティ2箇所を訪問し、聞き取り調査を行った。バンコクでは市街地における住環境改善活動の規模と内容を、低所得者層コミュニティおよび中間層コミュニティにおいて聞き取り調査を行った。また調査期間中に開催されたコミュニティ組織協議会へ参加し、参加者への聞き取り調査を行った。 以上の調査をもとに、2015年4月に日本都市計画学会に英語論文および学術論文を投稿した。また、2015年夏季に予定しているアンケート調査に向けて、アンケート項目の精査およびアンケート受入れ許可の手続きを現地協力者と共に進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従い、資料収集、プレ調査、および現地でのヒアリング調査を実施している。26度後半は、ビエンチャンの地域コミュニティにおけるアンケート配布機会が直前にキャンセルされたため、急遽予定を変更し2015年度に延ばすことになったが、アンケート項目を27年度版に総合的に整えることを完了しており、また現地での配布体勢も整っていることから、調査内容として問題はないと思われる。以上のことから、達成度を「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の成果をもとに、27年度は都市における役割と関係性の実態調査を行い、最終ステップである「都市コミュニティ・ガバナンスを促進するために重要な支援制度の提案」を達成する予定である。 夏季に第3回、および第4回の現地調査を行う。第3回では、バンコクの「コミュニティ組織協議会法(COC法)」およびビエンチャンの「居住環境整備事業における住民参加制度(PP参加制度)」の関係者へのヒアリングを通して諸制度の成立した背景および詳細内容について情報を収集し、整理する。さらに実質的に関わっている住民組織へのインタビュー調査を通して実態把握を行う。第4回調査では、行政その他の機関との関係性を対象とし、第3回調査を踏まえて、制度が施行される前後で変化した住民組織と行政およびその他の機関と新たに生じている関係性についてアンケート調査を行う。
以上の成果をもって、最終ステップとして、対象都市のコミュニティ・ガバナンスの形成プロセスを段階的に整理し、各都市における課題を明らかにするとともに、アジアの都市における住民組織を主体とした地域開発の在り方と、それを活性化させる政策および制度のあり方を探る。また、以上の分析過程を経てコミュニティ・ガバナンスの分析方法の有用性を問いただすとともに、新たな分析視点および要因を解明する。これらの成果は英語論文として取り纏め、27年度末に海外ジャーナルへ投稿する予定である。 また、冬期休暇期間中(2月、3月)に現地で報告会とワークショップを兼ねた会合を開催する。研究の成果を出来る限りその特徴をモデル化し可視化を試み、各都市における関係者や地域住民とイメージを共有しながらその特徴および今後の展開についての議論を可能にする事に試みる。英語論文の執筆状況にあわせて、ワークショップでの結果も論文に反映するものとする。
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