研究実績の概要 |
今年度の研究目標は、Claudin認識Q-bodyの遺伝子を構築し,蛋白質合成および色素修飾を行うことであった.特に,各段階において反応条件の最適化を行い,蛋白質の収量と修飾効率の最大化を試みた.具体的には, 1) Claudin認識Q-bodyの発現遺伝子の構築: 大阪大学大学院薬学研究科近藤昌夫准教授の研究グループからClaudin認識抗体遺伝子をご提供いただき,そのClaudin認識抗体のVHおよびVLを,当研究グループで開発された大腸菌細胞内Fab発現ベクターpUQ2に挿入することに成功した.pUQ2ベクターは,H鎖とL鎖それぞれのN末付近に蛍光色素修飾用のシステイン(Cys)残基が含まれたCysタグが付加されており,ダブルで色素を修飾することが可能となる.なお,C末付近にはHisタグとFlagタグが付加されており,Q-bodyの精製が容易になるという特徴を持つ. 2) 蛋白質の合成および精製: 作成した遺伝子で大腸菌SHuffle T7 express lysYを形質転換し,Fab断片を発現させた.その後,細胞質画分を回収し,Talonコバルトアフィニティカラムを用いて精製を行った.その結果,高純度で、正しくフォールディングされた可用性蛋白質を得ることに成功した. 3) 蛍光色素修飾: TCEPゲルを用いてCysタグ中のCys残基を還元させ,蛍光色素ATTO520-マレイミド, R6G-マレイミド, TAMRA-マレイミドでそれぞれ修飾を行った.その後,抗Flag抗体アガロースゲルを用いて遊離の色素を除去した.SDS-PAGEにてH鎖,L鎖両方とも修飾されたことを確認した.
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