平成27年度は26年度の成果に基づいて、名古屋都心部における土地被覆・微地形分類によりマトリクス構造の類型化を行うとともに、雨水涵養機能の実測値に基づくシミュレーション解析を行うことにより、有意なマトリクス指標を抽出した。これと平成26年度までの東京都心部における熱・風環境指標の成果とを合わせ、時間スケールの検討も行い、都市環境計画の基礎的単位としての有効性を検証した。
さらに、上記の成果を基に、将来のあるべき都市構造・地区構造を評価・策定する手法を考案し、多主体参加型まちづくりへの実践を図った。具体的には、名古屋市東部丘陵地に位置する名東区藤巻町において、地域住民と共同にてワークショップを総計約10回開催し、地区スケールでの関連するステイクホルダーを整理した植えで、上記の都市開発・緑地保全の両面からのマトリクスを基盤とした複数シナリオの評価・検討を行った。これらの成果は実際のまちづくり報告書として名古屋市に提案され、展開が行われている。
以上について、ドイツ、ライプニッツ生態都市・地域開発研究所、ポートランド州立大学、トリノ工科大学の研究者とのシンポジウム・意見交換を開催し、国際的な視点での有効性を確認した。また、これらの成果について、ポートランドで行われた国際景観生態学会・日本都市計画学会等の国内外の学会発表を行った。
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