研究課題/領域番号 |
26889035
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
松田 達也 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50736353)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 洗掘 / 掃流力 / 透水力 / 移動床実験 / 固液連成解析 |
研究実績の概要 |
既往の研究に基づく掃流力の影響に加え、移動床の透水性を考慮した地盤応力変化に着目して洗掘現象を考察する。特に、マルチスケールで地盤洗掘を考察するため、移動床水路実験および個別要素法と数値流体解析手法を連成させた数値実験を行う。その結果を踏まえて数理モデルを構築する。 1、流体-土粒子の相互作用に着目した土粒子移動実験: 開水路流れが作用する地盤表層の低拘束圧状態における土粒子の移動現象を考察するため、PIV画像解析により地表面に作用する流速を測定した。ピトー管による計測と合わせ、地盤表面の流速を精度よく計測することに成功した。この結果を用いて掃流力を算出し土粒子移動との関連を調べたところ、既往の研究が示すとおり移動判定に用いることの有用性を確認した。一方で、地盤表層にはデューン(丘)が発生し、地盤密度によってその形成・移動に差が見られた.そこで、現象を考察するため、土要素レベルに着目して過剰間隙水圧に起因する応力変化について調べた。その結果、緩く堆積した地盤では、過剰間隙水圧が上昇し、地盤表面では液状化に似た応力状態となることが明らかとなった. 2、流体-土粒子の相互作用に着目した数値解析手法の開発: 個別要素法と数値流体解析手法を連成させた解析用コードの開発を行なった。地盤洗掘現象を再現するためには、固液相互間の力学的作用に関する解析方法について、今後検討する必要があることが明らかとなった。 3、粒状体の変形・移動、破壊挙動を適切に表現するための数理的モデル化: 実験結果をもとに、地盤の透水性を考慮した流速分布を求め、ベルヌーイの定理に基づく地盤内部の間隙水圧変動について検討した。数理モデルによる過剰間隙水圧値は実験で得られた値より小さくなる傾向が明らかとなった.その理由として、地盤の変形による過剰間隙水圧を考慮できていないことにあるため、今後更なる検討が必要となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移動床実験により、地盤面に開水路流れが作用することで、地盤条件に応じて地盤内部に過剰間隙水圧が発生することを明らかとした。地盤の透水性を考慮した流速鉛直分布から地盤内部の間隙水圧変動を表現した数理モデルを用いて、地盤内部に過剰間隙水圧が発生することを明らかとしたが、定量的な評価を行うために地盤の変形特性を考慮する必要性が生じた。また、現象を数値実験で再現するために固液相互作用に関する解析方法を検討する必要性が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
移動床実験において、地盤の変状を拘束した多孔質剛体地盤により、開水路流れ下における地盤内部の過剰間隙水圧変動について考察する。これにより、過剰間隙水圧が発生する要因である透水力とせん断変形を分けて、各々の要因による発生量を分析する。さらには、土粒子-流体のミクロスケールに着目したDEM-CFD連成解析について,固液相互間の力学的作用を考察し解析方法の検討を行うことで高精度化に向けた改良を行い、移動床実験と合わせて地盤内部に発生する過剰間隙水圧の要因を具体的に分析する。
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