研究課題/領域番号 |
26889048
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
古里 友宏 長崎大学, 工学研究科, 助教 (70734002)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 超臨界二酸化炭素 / パルスパワー / アーク放電 / プラズマ計測 / レーザ計測 |
研究実績の概要 |
本研究は,超臨界二酸化炭素中のアーク放電現象を分光計測によりプラズマ温度などの計測を行い,レーザー観測によってアーク放電後の絶縁回復過程を明らかにすることにより,超臨界二酸化炭素を使った電力機器分野への応用に向けた基礎研究を完了することを目的としている.本年度の計画はアーク放電のプラズマ基礎パラメータを分光計測によって調査することであった. 分光計測により,超臨界二酸化炭素中のアーク放電のスペクトルを計測した.炭素原子や酸素原子のスペクトルが計測されたため,プラズマが局所的熱的平衡状態であると仮定し,酸素原子のスペクトルを用いて2線強度法(777 nm,845 nm)による温度評価を試みた.大気圧から超臨界状態まで調査した結果,全範囲にわたって数千Kオーダーの温度であることが分かり,媒質の圧力が上昇するほど温度が高くなる傾向にあった.また,アーク放電の発光強度分布を媒質圧力をパラメータとして調べると,圧力の上昇とともに発光強度が上昇することが分かり,温度評価を裏付けるような結果が得られた. シャドウグラフ法により,二酸化炭素の超臨界相と液相の絶縁破壊後の現象について調査を行った.液相の場合のみ,バブルのような密度変化が発生している様子が観測された.一般的に,バブルはスイッチングとして使用する場合に悪影響を及ぼすため,超臨界二酸化炭素がスイッチング媒質として有利であることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度はプラズマ温度評価のみの予定であったが,絶縁破壊後の絶縁回復過程のレーザー観測を行うこともできたため,計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,温度評価のダブルチェックとして,黒体放射のフィッティングを用いた評価法を導入する.また,レーザー観測についてもより詳細なデータの取得を行い,絶縁回復率との関係性について考察する.
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