研究課題
超臨界流体の電力機器への応用・実用化に向けて,アーク放電後の消弧過程の解明が必須になるため,アーク放電後(post-discharge)の観測のための光学的実験系を構築する.当初の計画では,アーク放電に伴って発生する密度変化をシュリーレン法によって観測し,2種類の媒質の境界の不安定性や低密度領域の内部の状態について考察することであった.予備実験としてシュリーレン法とシャドウグラフ法による撮影画像を比較したところ,シャドウグラフ法の方が絶縁回復過程を良く可視化できたため,シャドウグラフ法を採用した.また,消弧過程の画像の解析に加えて,超臨界相,液相におけるパルス絶縁破壊電圧の回復率について調査した.最初に絶縁破壊をさせた後に,時間差をおいて2発目のパルス電圧を印加すると,絶縁回復が進んでいる場合は,最初の破壊電圧に近くなる.1発目と2発目のパルス破壊電圧の比を,この実験では絶縁回復率と定義した.シャドウグラフ法により,超臨界相と液相における絶縁回復過程を詳細に観察していくと,いずれも針電極周辺から絶縁回復することが分かった.超臨界相の場合は,黒い影(加熱による低密度領域)がだんだんと薄くなっていく様子が観測された.液相の場合は,相変化に伴う境界のようなものが観測されたため,液相の場合は絶縁回復部と周辺の液体の間の密度差が不連続(バブル)になっていることが考えられる.一方,いずれの相においても1発目と2発目の電圧印加の時間差を短くするに伴って絶縁回復率は低下したが,液相の方が絶縁回復率の落ち込みが大きかった.絶縁回復過程の結果と絶縁回復率の結果を照らし合わせると,超臨界相が優秀な絶縁回復特性を有し,バブルを伴わずに絶縁回復する可能性が示唆された.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Japanese Journal of Applied Physics
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Proceedings of 2015 IEEE Pulsed Power Conference
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