研究課題/領域番号 |
26889056
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
亀谷 雄樹 東京理科大学, 工学部, 助教 (50734422)
|
研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
キーワード | 熱工学 / ナノ粒子 / カーボン / 熱分解 / 凝集 / アルコール / 炭化水素 |
研究実績の概要 |
本研究は、無定形炭素質の球状ナノ粒子から成るカーボンブラック(CB)表面上に形成される特異なナノスケール構造により、その表面に担持された金属触媒ナノ粒子の凝集を抑制する機能性の発現を検証することを目的とする。平成26年度は研究をスターとさせるべく、まず研究環境の構築を行い、炭化水素ガス/アルコールを用いたCBの高温熱化学反応処理を実施する実験装置の製作、および各種物理化学特性の評価を実施する体制を整備した。 アルコール炭素源の一つとしてエタノールを用いてその熱分解をCB表面上で行うことにより、CB表面にナノ表面構造が発達することを電子顕微鏡観察で明らかにするとともに、ラマン分光計測により結晶化度の高い表面構造が形成されること、さらに熱重量分析を用いた酸化反応の検討により耐酸化性が大きく向上することを実証した。メタン熱分解により得られたCB表面構造の特徴と比較するとともに、エタノール熱分解反応過程におけるガス組成の分析結果を通じて、形成されるCB表面構造の炭素源依存性を示した。 また、CBに担持された金属触媒粒子の検討を行うため、白金ナノ粒子をコロイド法によりCB表面に担持し、CB表面上における熱負荷の影響を評価した。異なる温度条件に曝した粒子の様子を電子顕微鏡にて観察することにより、温度域に依存した凝集の進行度を確認した。さらに、CB表面形態に依存する白金粒子の動的挙動を評価するため、透過型電子顕微鏡内で温度制御を行うことにより凝集過程の直接観察を行う実験プロセスを構築し、白金粒子の初期凝集状態に依存した高温化における動的挙動を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、本研究が採択された研究開始日(2014年8月29日)からの短期間の間に、研究環境を構築し、研究の進捗を得ることができた。利用予定であった分析機器の事情により、一部の研究項目において実施年度をいれかえたものが発生したが、研究計画全体として順調に進捗している。平成27年度の研究を迅速に推進していく準備を整えることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、研究のスタートにあたって実験環境の構築を行い、実験にて成果を得ることができた。また、研究計画において次年度に予定していたものの一部を先行実施することができ、さらに研究過程において新たな課題を発見することができた。平成27年度は、前年度の研究進捗をふまえ、迅速に研究を推進させていくとともに、本研究の最終年度であるため、研究成果をまとめていく方策である。
|