我々は、人工細胞膜(HL)を用い、形質転換幹細胞の除去効果について検討したところ、以下のような興味深い知見が得られた。(1)肝芽細胞への分化誘導について、胎児肝細胞に1mM 酪酸ナトリウム(SB)を加え8日間培養したところ、約40%の肝芽細胞誘導率が得られた。(2)肝芽細胞への誘導の間に、形質転換細胞の有無を評価するため、コロニー形成数を測定したところ、未分化の胎児肝細胞と比べ、分化誘導後の肝芽細胞のコロニー数が有意に増加した。そこで、分化誘導の際に、HLを加え培養したところ、コロニー数の有意な減少効果が得られた。これらの結果は、HLが形質転換肝幹細胞を除去する効果があることを示唆する。
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