研究課題/領域番号 |
26889061
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研究機関 | 一関工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川合 政人 一関工業高等専門学校, 助教 (70511278)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | ガスハイドレート / 未利用エネルギー回収 / 冷熱回収 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はCO2ハイドレートから放出される高圧の解離ガスによってガスタービンを駆動し発電を行う,自然エネルギーと廃熱を熱源とする発電装置(以下,CO2-H発電機とする)の開発を行うことである.本研究ではこれまでに,CO2ハイドレートの基礎的な生成および解離特性を調査し,CO2ハイドレートを動力源としてガスタービンを運転した際に得られる出力特性を明らかにしてきた. 本発電機が必要とする熱源は,高温側が10℃,低温側が-10℃程度である.低温側の熱源は寒冷地では容易かつ無尽蔵に入手可能であり,高温側の熱源に関しても給湯排水や暖房排気などから容易に入手可能である.よって,本装置は寒冷地において有効な自然エネルギー由来の発電装置となることが期待できる.しかし,CO2-H発電機の実用を目指すにあたって,低温熱源が確保できない夏季の運用方法が検討課題となっていた. 本研究期間では特に,ガスタービン(膨張機)で生じる冷熱をCO2ガスハイドレートの生成に利用することによって,本装置の運転可能条件の拡大を試みる.本研究期間では次の4項目を実施する.(1)CO2ハイドレート生成と解離によるCO2ガスの吸収・放出特性の把握,(2)ガスタービンでの冷熱回収特性の把握,(3)CO2-H発電機の設計指針の構築,(4)CO2-H発電機の試作と設計指針の検証. 上記のうち,平成26年度は(1)と(2)を実施した.まず(1)について,10 MPa級耐圧反応容器を設計・製作し,ハイドレートの生成および解離反応を行うための実験システムを構築した.構築した実験システムを用いて,本研究で想定する圧力・温度条件での生成と解離反応速度を調査した.(2)については,既存の小型エアモータ発電機を用いて冷熱回収量の試算を行うために,作動ガスの圧力・温度計測装置を追加したうえで,作動ガスの膨張過程の調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,CO2ハイドレートから放出される高圧の解離ガスによってガスタービンを駆動し発電を行う,自然エネルギーを熱源とする発電装置の開発を行うことを目的とする.本研究期間では特に,ガスタービン(膨張機)で生じる冷熱をCO2ガスハイドレートの生成に利用することによって,本装置の運転可能条件の拡大を試みる. その目標を達成するために必要な4項目のうち、平成26年度は当初の計画通り,「(1)CO2ハイドレート生成と解離によるCO2ガスの吸収・放出特性の把握」を実施し,「(2)ガスタービンでの冷熱回収特性の把握」に着手していることから,おおむね順調に研究が進展していると考えられる.ただし(1)での,反応で消費する熱量の測定と,(2)での,実際に冷熱回収機能を実装した実験が未実施であることから,全体としてやや遅れていると自己評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
本期間における研究目標達成のため,次の4項目が必要となる.(1)CO2ハイドレート生成と解離によるCO2ガスの吸収・放出特性の把握,(2)ガスタービンでの冷熱回収特性の把握,(3)CO2-H発電機の設計指針の構築,(4)CO2-H発電機の試作と設計指針の検証. このうち平成27年度は(1),(2)の未完了部分である,「生成・解離反応で消費する熱量の測定」と「実際に冷熱回収機能を実装した実験」を実施したのち,当初の予定に従って(3),(4)を行う.(3)について,CO2-H発電機の設計において決定すべき事項は,(ⅰ)ハイドレート生成容器の容積,(ⅱ)ハイドレート生成および解離を行う条件(熱源温度,容器内圧力),(ⅲ)ガスタービンの運転条件(入口・出口圧力)である.(ⅰ,ⅱ)は実施内容(1)の結果をもとに,(ⅲ)については同じく実施内容(2)をもとに設計指針を作成する.設計指針を用いることで,利用可能な熱源(高温・低温熱源)温度と目標発電出力が要求仕様として与えられれば,上記の設計項目を決定することが可能となる.なお,実施内容(1)において,生成反応(CO2ガスの吸収)は解離反応(CO2ガスの放出)に比べて反応速度が小さいことが示唆されたため,本研究の申請時に計画していた発電機の構成(解離反応と生成反応を同時に生じさせてタービンを駆動)に加えて,解離反応と生成反応を非同期的に生じさせるバッチ運転方式についても検討を行う.次に(4)として,上記の設計指針に基づいて,CO2-H発電機を設計・試作を行う. 設計・試作を行う発電機の構成は,(3)で述べた検討結果をもとに決定する.
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