シーリング目地の故障は、接着面からの剥離が全体の約半分を占めており、シーリング目地の維持保全の観点から、現場で定期的に接着性を含めたシーリング目地の耐久性を簡便に判定できる方法も必要と考えられる。そこで本研究では、実建物でシーリング目地の接着性を非破壊で評価できる方法の開発を目的とし、平成27年度は①シーリング目地に特殊な治具を圧入して目地の剥離部分を検出できるか,②非破壊試験方法としての適用可能性と診断に必要な条件について検討を行った。 現場で施工されたシーリング材の接着性を非破壊で調べるためASTM C 1176-11の試験方法を参考とし,本研究では次の剥離判定方法について検討を行った。試験に使用した圧入用治具は直径50mm厚さ5mmの半円形とし,この治具を用いて1mm/minの速度でシーリング材に徐々に治具を圧入し、その時の圧入深さと圧入荷重を測定した。また,既存の引張試験結果との比較検討を行った。以下の研究成果が得られた。 1.圧入試験において、圧入深さが5mmを超えた時点から剥離割合の影響が圧入荷重により確認できたが、目地深さによって圧入荷重は異なった。これよりシーリング材モジュラス,断面寸法に応じた非破壊試験条件を設定する必要があると考えられた。 2.目地深さ10mmも15mmも圧入荷重と引張荷重は概ね比例関係であった。これより,金属製の半円形治具を圧入させる事によりシーリング目地の剥離状況を非破壊で判定でき、既存の引張試験の結果とも相関性があることを示し,本試験方法を現場で適用できる可能性を見出した。 3.現場で実施可能な非破試接着性判定方法の開発を行うためには、既存の試験方法との相関性を検討しながら、材料・設計要因や試験機側の要因を考慮して試験法を構築する必要がある。
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