今後の研究の推進方策 |
今後は、予定通り、側坐核や腹側淡蒼球において、サッカリン水溶液を摂取した際に検出されるc-fos陽性細胞の特徴を調べる実験を進めていく。これまでの膨大な知見より、側坐核には2種類のGABA作動性medium spiny 投射ニューロンがあることが分かっている。ひとつはいわゆる「直接路」を構成する細胞で、Drd1aやSubstance Pを発現し、淡蒼球や中脳に投射する。もうひとつは「間接路」を構成し、Drd2やEnkephalinを発現し、淡蒼球に投射する。快情動の発現に伴い、側坐核の殻の特定のmedium spiny 投射ニューロンでc-fosの発現が変化している可能性を検討するために、c-fosとSubstance PまたはEnkephalinの共染色を行う。また側坐核には、全神経細胞の90-95%を占める上記medium spiny投射ニューロンの他に、5-10%を占める介在ニューロンが存在する。それら介在ニューロンはsomatostatinやcalbindin, calretinin, parvalbumin, アセチルコリンの発現によりサプタイプを区別することができるため、投射ニューロンと同様にこれらマーカーとc-fosの共発現も調べる。
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