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2014 年度 実績報告書

シャペロン結合解析による膵癌の薬剤自然耐性解除薬の標的分子同定

研究課題

研究課題/領域番号 26890021
研究機関大阪市立大学

研究代表者

田中 昌子(橘昌子)  大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00733651)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワード薬剤耐性 / 熱ショックタンパク質 / インタラクトーム / 膵癌
研究実績の概要

本研究ではヒト膵癌細胞株PANC-1より樹立した低血清耐性株PANC-1/Stv、低酸素耐性株PANC-1/Hypのシャペロン結合分子を解析することで、薬剤自然耐性に関与する分子を同定する。平成26年度は主に①PANC-1/StvおよびPANC-1/Hyp株のゲムシタビン感受性の評価および分子生物学的特性の解明、②PANC-1/StvおよびPANC-1/Hyp株に特異的なHsp72結合タンパク質の同定、③mCherry安定発現株の樹立を行った。

1. MTTアッセイにより各株のゲムシタビンIC50値を算出した結果、PANC-1/StvおよびPANC-1/Hyp株の薬剤抵抗係数は親株であるPANC-1に比べ、それぞれ142倍と37倍に上昇していた。両株は通常培養(非ストレス)下であっても、小胞体ストレス応答を亢進させていることが明らかとなった。また、薬剤獲得耐性株であるPANC-1/GEMはゲムシタビンを不活化することで薬剤耐性を獲得していたのに対し、両株はアポトーシスを抑制することで薬剤耐性を獲得していることが示唆された。さらに、PANC-1/Stv株のみEMT様の形質転換が認められ、これらの形質がPANC-1/Hyp株を上回る薬剤耐性に関与していることが示唆された。
2. 親株のHsp72結合タンパク質プロファイルとの比較により、PANC-1/StvおよびPANC-1/Hyp株に共通するHsp72結合タンパク質を質量分析計にて同定した。合計205タンパク質を同定し、37タンパク質が両株に共通かつ特異的であった。
3. PANC-1、PANC-1/Stv、およびPANC-1/Hyp株のmCherry発現株を樹立した。細胞イメージングシステムにより十分な蛍光量であることを確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

mCherry発現株の移植実験については遅れているが、樹立細胞株のゲムシタビン耐性機序解明や自然耐性関連分子のスクリーニングについては当初の計画以上の結果を得た。

今後の研究の推進方策

ゲムシタビン自然耐性に関与する分子として37タンパク質を同定したが、さらなる解析により6タンパク質まで絞り込んだ。候補分子が少ないこと、また本学にin vivoイメージング装置が導入されたことから、イメージングに用いる動物をゼブラフィッシュからマウスに変更して、薬剤自然耐性関連分子を同定する。評価項目はゼブラフィッシュにて計画していた内容と変更はない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Establishment of neutralizing rat monoclonal antibodies for fibroblast growth factor-22014

    • 著者名/発表者名
      Tanaka M, Yamaguchi M, Shiota M, Kawamoto Y, Takahashi K, Inagaki A, Osada-Oka M, Harada A, Wanibuchi H, Izumi Y, Miura K, Iwao H, Ohkawa Y.
    • 雑誌名

      Monoclon Antib Immunodiagn Immunother.

      巻: 33 ページ: 261-9

    • DOI

      10.1089/mab.2013.0085.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Hsc70 contributes to cancer cell survival by preventing Rab1A degradation under stress conditions2014

    • 著者名/発表者名
      Tanaka M, Mun S, Harada A, Ohkawa Y, Inagaki A, Sano S, Takahashi K, Izumi Y, Osada-Oka M, Wanibuchi H, Yamagata M, Yukimura T, Miura K, Shiota M, Iwao H.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 9 ページ: e96785

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0096785.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 低血清・低酸素耐性膵癌細胞におけるゲムシタビン感受性の評価2015

    • 著者名/発表者名
      市坪大将、田中昌子、髙橋克之、泉康雄、塩田正之、岩尾洋、三浦克之
    • 学会等名
      第88回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-20
  • [学会発表] Stromal cell-drived factor 2はoxaliplatin耐性に寄与する2015

    • 著者名/発表者名
      髙橋克之、田中昌子、塩田正之、泉康雄、三浦克之、岩尾洋
    • 学会等名
      第88回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-20
  • [学会発表] 膵癌細胞における低血清・低酸素耐性株の樹立とGemcitabine感受性の評価2014

    • 著者名/発表者名
      市坪大将、田中昌子、髙橋克之、泉康雄、塩田正之、岩尾洋、三浦克之
    • 学会等名
      第126回日本薬理学会近畿部会
    • 発表場所
      和歌山県JAビル(和歌山県和歌山市)
    • 年月日
      2014-10-24
  • [学会発表] 膵癌細胞株PANC-1の環境ストレス耐性株樹立とゲムシタビン感受性への評価2014

    • 著者名/発表者名
      市坪大将、田中昌子、髙橋克之、鰐渕英機、塩田正之
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] Hsp72-TGFBI複合体はエンドリソソーム系によって分泌される2014

    • 著者名/発表者名
      田中昌子、髙橋克之、市坪大将、鰐渕英機、塩田正之
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27

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公開日: 2016-06-01  

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