研究課題
代表的精神疾患である統合失調症は多様な症状(陽性症状、陰性症状、および認知機能不全など)を呈し、単一脳領域の異常ではなく、広範な神経回路間の情報統合機構の異常に起因すると考えられる。従って、有効な治療指針の確立には、個々のエンドフェノタイプの機序を神経回路レベルで明らかにする事が欠かせない。特に異なる脳領域間(マクロな神経回路)での情報の流れの理解が必要である。様々な遺伝学的手法を用いる事のできるマウスをモデル動物として選択し、Ca2+センサー蛍光蛋白質を大脳皮質で発現させる系を開発・利用し、統合失調症のモデルマウスでマクロな回路レベルで情報統合不全の実態(情報の流れの乱れ)を定量的に評価する事を目的とした。具体的には、Ca2+センサー蛍光蛋白質であるYC2.60を大脳皮質の興奮性細胞あるいは抑制性細胞にマウス遺伝学の手法を用いて発現させ、炎症起因性発達障害の統合失調症モデルマウスを作出した。そして、自発活動および知覚刺激を提示した際に見られる大脳皮質神経細胞の神経活動を測定し、正常状態のマウスの神経活動と比較を行った。また、統合失調症に限らず、他の精神疾患モデルマウスや多様な遺伝子種の変異マウスで大脳皮質神経細胞動態解析を簡便に行うためには、多重交配による労力と時間を省く必要がある。そのために、Ca2+センサー蛍光蛋白質をマウス遺伝学以外の方法で導入する系を開発した。アデノ随伴ウイルスベクターを利用して、Ca2+センサー蛍光蛋白質がどの程度発現し、in vivoでの神経活動を測定する事ができるかの検証を行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Brain
巻: 9 ページ: 1-23
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生体の科学
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