研究課題/領域番号 |
26891003
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 幸恵 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60414629)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 生態学 / 進化学 / 行動学 / 植物ダニ学 |
研究実績の概要 |
個体間の協力や対立は、様々な種において観察されているが、その説明として血縁選択説は広く受け入れられている。近年の研究により、分散が限られている集団では、集団の平均血縁度と対立(いやがらせ)行動の関係は非線形になることが、理論的に示めされている。しかし、その実証研究は未だ数少ない。そこで本研究では、分散性が低く、オス同士の攻撃性に地理的変異の見られるススキスゴモリハダニ Stigmaeopsis miscanthi (Acari: Tetranychidae)の遺伝的集団構造を解析し、集団の平均血縁度を測定することにより、近年の血縁選択理論を検証することを目的としている。初年度である平成26年度は、オス同士の攻撃性が中間的である南琉球個体群と、攻撃性の強い北・中琉球もしくは九州個体群を採集し、オス同士の攻撃性の強さと生息地の冬の寒さの推定、および集団の遺伝的構造解析を行う予定であった。沖縄県石垣島および沖縄県本島にて、攻撃性が中間的な個体群および強い個体群を、集団の遺伝的構造の解析が行えるような方法(巣単位、ススキの株単位、ススキフィールド単位での採集)でもって採集することができた。また、飼育を行う上で必要である設備を整え、寄主植物の鉢植えを確立し、個体ごとにDNAを抽出する方法と道具も確立した。しかし、オス同士の攻撃性の強さと生息地の冬の寒さの推定、および集団の遺伝的構造解析にはまだ至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りには進んではいないが、初年度は半年間(10月から3月)しかなく、次年度はまるまる1年間あることを考えると、比較的研究は順調に進んでいると言える。また、今後の研究を進める上で必要な環境を整えることができ、そして何より、遺伝的集団構造の解析が叶うような方法でダニが採集できるかが一番の心配であったが、攻撃性の強い個体群、中間的個体群では、予定通りに採集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り研究をすすめる。まずは、オス同士の攻撃性の弱い個体群も同様の方法にて採集する。そして、昨年度採集した個体群とともに、冬の寒さの推定、オス同士の攻撃性の強さの推定、遺伝的集団構造の解析と血縁度の測定を行う。
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