研究課題
本研究では、マイクロ流路による液滴(エマルジョン)操作技術を用いて、機能性RNA、特に触媒RNA(リボザイム)の「膜内進化システム」を構築し、RNAの触媒機能の限界を追求することを目的とした。膜内進化システムは、「RNAの膜内複製・発現システム」と、液滴を操作・解析・分取する「マイクロ流体システム」から成る。前者の「RNAの膜内複製・発現システム」については、代表者がこれまでに開発したRNA切断リボザイムの複製・発現系を基に、いくつかの改良(反応系のRNA・その他の成分の濃度等の最適化)を加え、確立した。また、膜内進化を他のリボザイムにも適用するため、スプライシング活性をもつグループIリボザイム、RNA切断活性をもつHDVリボザイム、蛍光を発するSpinach RNAの解析も行った。後者の「マイクロ流体システム」については、代表者の前所属研究機関の協力の下、独自のシステムの構築を行った。具体的には、蛍光色素を励起するレーザーの波長や本数、蛍光検出用の光学フィルターの波長域等について、本研究に最適化させた改良を行った。前年度に残っていた検出シグナル強度の問題を解決するため、装置内の各分光ミラーの調整や、システム内部への散乱光・外部光の侵入を防ぐ工夫を行い、システムのS/N比の向上に成功した。また、液滴の生成・恒温・選択を1チップで行う「統合」デバイスの開発・改良も行った。現在、上記システムを用いて、RNA切断リボザイムの膜内進化実験を遂行中である。この実験により、これまでの研究では十分に追求されてこなかったRNAの「酵素」としての潜在能力を解放し、RNAの機能と構造に関するより詳細な知見がもたらされると期待している。また、本研究で開発したマイクロ流体デバイスは、他のRNAの実験進化も行うことができる、汎用性の高いシステムの基盤となる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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