本研究では、時計タンパク質CRYの安定性を変化させる新規の化合物を同定し、それをプローブとしてCRYの機能調節機構を解明することを目指す。そのために本年度は化合物スクリーニング系のセットアップを行った。CRY1とルシフェラーゼの融合タンパク質であるCRY1-LUCを安定発現するHEK293細胞を用い、申請者が発見したCRYを安定化する化合物KL001の効果を指標に細胞数、培地量、化合物添加のタイミング、処理時間などを検討し、384ウェルプレートを用いたアッセイ条件を最適化した。化合物処理によるCRY1-LUCの蓄積量の変化を用いたエンドポイントアッセイとすることで、半減期を測定するよりも手順を簡略化し、ハイスループット化への目途をつけた。コントロールとしてLUCを安定発現する細胞を用い、化合物がルシフェラーゼに与える影響を評価することで、CRYに対する作用を明らかにする。さらに名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所の化合物ライブラリーセンターと共同で、384ウェルプレートに対応した細胞分注機およびプレートリーダーを導入した。現在、化合物投与に用いる微量分注機をセットアップしているところである。機器の準備が整い次第、化合物ライブラリーセンターが所有する化合物のうち1万種類をスクリーニングし、CRYの発現量を増加あるいは減少させる化合物がどの程度の頻度で出現するかを見積もる予定である。
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