研究課題/領域番号 |
26891022
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
羽鳥 恵 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (90590472)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 光受容 |
研究実績の概要 |
哺乳類の網膜では桿体・錐体に加え、数パーセントの網膜神経節細胞が第三の光受容細胞として機能する。この細胞には青色光感受性の光受容タンパク質であるメラノプシンが発現しており、メラノプシン発現網膜神経節細胞と呼ばれる。メラノプシン発現網膜神経節細胞は自身で光を感じると共に桿体・錐体からの投射も受け、概日時計の位相調節や瞳孔の開閉などの非視覚応答を制御する。メラノプシン発現網膜神経節細胞内で光情報がいかに制御されているのかを解明することは、桿体・錐体とメラノプシン発現網膜神経節細胞の光応答の違いの理解へとつながる可能性がある。本研究ではメラノプシンおよびメラノプシン発現網膜神経節細胞の性質を明らかにするため、メラノプシンの変異体作製を行った。ランダムミュータジェネシスおよび特定の領域を狙う変異体作製を同時並行させ、数十種類の変異体を作製した。それらを哺乳類培養細胞に発現させ、メラノプシンの光応答に与える影響を調べた。哺乳類培養細胞を暗黒条件下で維持し、さまざまなメラノプシン変異体を細胞にトランスフェクションした後に青色光を照射し、カルシウム濃度の変化を測定した。その結果、数種類の光応答変異体を単離することに成功した。得られた変異体を組換えアデノ随伴ウィルスベクター用いてメラノプシンノックアウトマウスに発現させて瞳孔収縮などの非視覚応答を測定し、生体レベルで変異の効果と意義を評価することが本課題の最終目標である。そのための眼内注入の手法の確立にも着手し、実際に可能にすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画ではメラノプシンの様々な変異体の作製を進める予定であり、実際にそれを遂行して細胞に発現させることで機能を評価し、in vivo実験に持ち込む候補分子を得ることが出来た。また、マウスの網膜神経節細胞への導入方法を確立することができた。このように研究は計画通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は選定した候補分子をマウス個体において評価する。そのための行動・生体レベルでの評価系の構築に取り掛かる。明暗環境をコントロールできるマウス飼育環境のセットアップ、瞳孔収縮測定の構築、そのための暗室などを整えたい。
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