今後の研究の推進方策 |
今後はH27. 9月を目途に(1)エフェクター分泌可視化系と(2)回転速度評価系の構築を進める。その後、両実験系を組み合わせた(3)回転-分泌相関評価系を構築し、(4)種々条件で回転-分泌相関を評価する。 (1), (2)では、両者を同時進行するとともに、すでに論文で報告されている方法を積極的に用いることで、系の構築に要する時間の短縮を試みる。これにより、H27年度中の研究目標の達成を試みる。 (1)では、エフェクター分泌の可視化にはサイズが小さくて硬い構造をとらない蛍光タグをエフェクターに修飾する必要があることがこれまでに示唆された。そこで、この条件を満たすTetra-cysteine(TC)タグをエフェクター(ExoT)に修飾することにした。化合物FlAsH-EDT2はTCタグと結合するとEDT2が外れて蛍光を発する。そのため、FlAsH-EDT2を添加することで、TCタグはGFPと同様の蛍光プローブとして振る舞う。TCタグは6アミノ酸の小ペプチドであり、それ自体は構造をとらない。また、サルモネラ属菌で、エフェクターにTCタグを修飾しても分泌が起こることも報告されている[Van Engelenburg SB他, Chem Biol(2008)]。したがって、GFPの代わりにTCタグを用いれば、分泌可視化系の構築は可能と思われる。 (2)では、金ナノロッド表面に量子ドットを修飾し、異方性の蛍光プローブを作製する。これをT3SA特異的に結合させることで回転速度評価系を構築する。金ナノロッドへの量子ドット修飾はすでに報告されている方法で行う[Xin Li他, Optics express(2010)]。また、T3SA特異的なプローブの修飾法はすでに確立している[Ohgita他, FASEB J (2013)]。 以上のように研究を推進することで、H27年度中の研究目標達成を試みる。
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