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2014 年度 実績報告書

条件反射に伴う神経回路可塑性の遺伝生理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26891030
研究機関独立行政法人情報通信研究機構

研究代表者

吉原 基二郎  独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所バイオICT研究室, 主任研究員 (80222397)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワード神経科学 / 遺伝学 / 記憶 / ショウジョウバエ / シナプス可塑性
研究実績の概要

米国における申請者の研究室で発見されたショウジョウバエのFdg neuronを要とする摂食神経回路を実験系として用いると、 同定されたニューロンからなる神経回路上で、パブロフの条件反射に伴うシナプス可塑性を解析。パブロフの実験では、イヌの摂食行動(エサが無条件刺激)にベルの音などの条件刺激を連合した。ハエで同様な行動実験をシナプスの観察と同時に行う為には、一匹のハエを定位した状態でパブロフのイヌが示したような行動変化を起こさせる必要がある。
米国マサチューセッツ大学およびMITにおいて申請者が主宰する研究室のポスドクであった櫻井晃(現在未来ICT研究員)による本研究の予備実験において、「あらかじめハエに持たせておいた棒を離す」という条件刺激を、吻へのショ糖水溶液の刺激(無条件刺激)による吻伸展に連合するという全く新しい条件反射のパラダイムを作成することに成功した。本年度は、このパラダイムの実験条件をシステマティックに検討した。 ショ糖溶液濃度、ならびに、プロトコルを検討し、繰り返すにつれて、学習効果が上昇して来ることを確認した。さらにカルシウムイメージング法による神経回路の可塑的な変化の観察を行った(「達成度」参照)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

次年度に計画していたカルシウムイメージングの実験のために、セットアップを神戸の未来ICT研究所にて行った。これを用いて、イメージングしながらショウジョウバエを条件付けすると、「Fdg neuronが条件刺激のみで発火する」ようになるという、MITでの結果を確認した。 さらに学習に伴ってこれが上昇して行くという決定的な結果を得ることに既に成功した。この結果は、条件反射に伴う脳内変化を単一ニューロンのレベルで観察した世界で最初の例である。

今後の研究の推進方策

条件反射時の Fdg neuronの活動変化をつかむことに成功したので、さらに、条件付けのプロトコルを検討し、この記憶の持続時間、または忘却の条件を検討する。また、それにともなう Fdg neuronの活動をカルシウムイメージング法によってモニターし、条件反射時の行動としての記憶とニューロンの活動を詳しく対応させていきたい。この結果(条件反射プロトコル確立と条件反射時の Fdg neuronの活動変化)を、一つの論文にまとめて発表する。

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公開日: 2016-06-01  

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