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2014 年度 実績報告書

乳酸菌発現系を用いたヘリコバクター・ピロリ経口ワクチンの開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 26892011
研究機関東京工業大学

研究代表者

岩谷 駿  東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (80608373)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワード乳酸菌 / ヘリコバクター・ピロリ / ワクチン / 抗原提示 / 感染防御
研究実績の概要

近年、乳酸菌を用いたドラッグデリバリーシステムや、乳酸菌を抗原運搬体として用いる粘膜ワクチンの研究が盛んに行われている。本研究は、乳酸菌組換えワクチン構築のための基盤研究を行うとともに、胃内感染病原菌であるHelicobacter pylori(ピロリ菌)の感染を予防する経口ワクチンを開発することを最終目的としている。
本年度は、まず研究遂行のために必要な生物資源、遺伝子資源を調達するとともに、各実験環境のセットアップを行い、以下の予備的実験を開始した。
①宿主候補であるLactococcus lactis、および数種のLactobacillus属細菌に対し、nisin誘導型プロモーター下に設置したgfp遺伝子を導入し、宿主-発現系としての有効性を確認した。また、非選択圧条件下でのプラスミド保持試験を行い、L. lactis宿主株においては 10継代以上に渡っての安定的なプラスミド保持性が確認された。②宿主菌体の細胞表層への抗原提示を実現するため、L. lactis (MG1363 or IL1403)のゲノム上に存在し、細胞壁アンカーモチーフを持つタンパク質を数種クローニングした。現在、GFP融合タンパク質としての発現・局在確認を行っている。③宿主L. lactis株においてハウスキーピング遺伝子として発現するhtrA(菌体外プロテアーゼ)の外来タンパク質への影響を確認するため、L. lactis NZ9000 WT /ΔhtrAの両菌株にH. pylori由来の外膜タンパク(全長oipA)を導入し発現量の比較を行ったが、本タンパク質はいずれの宿主においても発現量が低く、量的比較には至らなかったため、他のピロリ菌タンパクを用いた再試験を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究費の交付開始が10月であり、必要な器材、消耗品等の購入がそれ以降可能となったため、実質的な研究期間が限られていた。そのため、当該年度に予定していたピロリワクチンの候補となる乳酸菌組換え体の獲得には至っていない。上記の実験を通して得られた知見をもとに、次年度は計画以上の成果を上げられるように努力したい。

今後の研究の推進方策

今後は、当該年度に達成することができなかった研究項目に継続して取り組むとともに、以下の項目について検討する。
①ピロリ抗原発現プラスミドの構築と、抗原局在性の異なる乳酸菌組換え体の獲得
②ポリクローナル抗体を用いた、ピロリ抗原タンパクの発現・局在解析
③ヒトCD4陽性T細胞を用いたin vitro免疫応答試験
④ピロリ菌感染マウスモデルを用いた免疫付与試験

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Differences in interleukin 8 expression in Helicobacter pylori-infected gastric mucosa tissues from patients in Bhutan and the Dominican Republic.2015

    • 著者名/発表者名
      Nagashima H, Iwatani S, Cruz M, Jimenez Abreu JA, Tronilo L, Rodriguez E, Disla M, Terao H, Uchida T, Mahachai V, Vilaichone RK, Tshering L, Mitsui T, Shiota S, Graham DY, Yamaoka Y.
    • 雑誌名

      Human Pathology

      巻: 46 ページ: 129-136

    • DOI

      10.1016/j.humpath.2014.10.006.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gene cluster responsible for secretion of and immunity to multiple bacteriocins, the NKR-5-3 enterocins.2014

    • 著者名/発表者名
      Ishibashi N, Himeno K, Masuda Y, Perez RH, Iwatani S, Zendo T, Wilaipun P, Leelawatcharamas V, Nakayama J, Sonomoto K.
    • 雑誌名

      Applied and Environmental Microbiology

      巻: 80 ページ: 6647-6655

    • DOI

      10.1128/AEM.02312-14.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of the genes that contribute to lactate utilization in Helicobacter pylori.2014

    • 著者名/発表者名
      Iwatani S, Nagashima H, Reddy R, Shiota S, Graham DY, Yamaoka Y.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 9 ページ: 103506

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0103506.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Virulence genes of Helicobacter pylori in the Dominican Republic.2014

    • 著者名/発表者名
      Shiota S, Cruz M, Abreu JA, Mitsui T, Terao H, Disla M, Iwatani S, Nagashima H, Matsuda M, Uchida T, Tronilo L, Rodriguez E, Yamaoka Y.
    • 雑誌名

      Journal of Medical Microbiology

      巻: 63 ページ: 1189-1196

    • DOI

      10.1099/jmm.0.075275-0.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Discovery of novel mutations for clarithromycin resistance in Helicobacter pylori by using next-generation sequencing.2014

    • 著者名/発表者名
      Binh TT, Shiota S, Suzuki R, Matsuda M, Trang TT, Kwon DH, Iwatani S, Yamaoka Y.
    • 雑誌名

      Journal of Antimicrobial Chemotherapy

      巻: 69 ページ: 1796-1803

    • DOI

      10.1093/jac/dku050.

    • 査読あり
  • [学会発表] リーダーレスバクテリオシン、ラクティシンQの生合成および抗菌機構2014

    • 著者名/発表者名
      善藤 威史、緒方 詩保、Mengqi Li、石橋 直樹、益田 時光、岩谷 駿、米山 史紀、園元 謙二
    • 学会等名
      日本生物工学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2014-09-09 – 2014-09-11

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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