研究課題
近年、乳酸菌を用いたドラッグデリバリーシステムや、乳酸菌を抗原運搬体として用いる粘膜ワクチンの研究が盛んに行われている。本研究は、乳酸菌組換えワクチン構築のための基盤研究を行うとともに、胃内感染病原菌であるHelicobacter pylori(ピロリ菌)の感染を予防する経口ワクチンを開発することを最終目的としている。本年度は、昨年度の研究結果を踏まえ、非組換え乳酸菌を用いた目的タンパク質の細胞表層提示系の構築、ならびに提示可能なタンパク質量をハイスループットで定量する系の構築を試みた。大腸菌BL21株を宿主として、Lactococcus lactis由来のアンカータンパク質(LysM)をC末端に持つGFP(レポータータンパク質)発現株を構築し、得られた大腸菌破砕液と提示宿主である乳酸菌株をインキュベートすることにより、目的タンパク質を細胞表層に提示させた乳酸菌株を取得した。抗GFP抗体を用いたブロッティング解析、および免疫染色により乳酸菌株の細胞表層に提示された目的タンパク質の局在を確認した。また、GFP由来の蛍光強度を測定することにより、それぞれ異なる条件、宿主で提示されたタンパク質量をハイスループットに比較定量することが可能となった。上記の定量系を用いて、提示宿主である乳酸菌株の調整法、大腸菌破砕液との反応条件、提示されたタンパク質の保持力等についても詳細な検討を行い、多くの情報を得ることができた。また、同アンカータンパクを用いたコンストラクトが、L. lactisだけではなく、試験した全ての乳酸菌種(7属16菌種)に対して有効であることが示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Medical Mycology
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Journal of Infectious Diseases
巻: 212 ページ: 1666 - 1676
10.1093/infdis/jiv270.