初年度において、子牛での実験を可能とする生体機能情報計測システムの構築を行った。子牛の呼吸による動的温度変化、あるいは脈拍による皮下の振動によって発生するピエゾフィルムセンサの出力電圧を正確に計測するためのシステムを構築するため、ピエゾフィルムセンサ→プリアンプ→ケーブル→計測器(オシロスコープ)といった構成とした。実験において、この構成ではセンサからの信号をすぐに増幅させるため、牛の動作などによる影響を低減させることができた。一方で、呼吸数や心拍数よりも周波数の高い生体ノイズによる問題が明らかとなった。この対策のため、呼吸数や心拍数の低周波のみを測定するローパスフィルタ機能を追加したアンプを、計測システムに追加した。これにより、センサの出力電圧を正確に計測するためのシステムの構築を完了した。 呼吸による温度差から呼吸数をするため、あるいは脈拍による皮下の振動から心拍数を計測するために、センサの設計および作製を行った。前者では、子牛の鼻輪に取り付け可能なように、センサのサイズは2mm×3mmとしている。これは鼻輪の内部に設置可能な大きさである。後者では、子牛の尾根部の長軸方向に取り付け可能なように、センサのサイズは5mm×10mmとした。長軸方向に取り付けやすく、かつセンサ面積を大きくすることでより大きな圧電出力を得ることを目的とした。これらのセンサと構築した計測システムを利用して、呼吸および脈波によって発生する圧電出力の計測、評価を行う準備を終えた。
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